柑橘ツウに人気の「はっさく」の魅力とは

柑橘類の中でも古くから愛されてきたものの1つが、「はっさく」です。
外皮の剥きにくさから、みかんと比べると敬遠されがちなはっさくですが、実はツウには大人気の柑橘なんです。

今回はツウを虜にするその魅力について、ご紹介しましょう。

はっさくの来歴

はっさくは広島県因島田熊町にあるお寺「恵日山浄土寺」の境内で、1860年頃に発見されました。

はっさくは漢字で「八朔」と書き、当時の住職であった恵徳上人が「八朔には食べられる」と言ったことから名づけられたと言われています。

この「八朔」は、「八月朔日(さくじつ)」の略です。
「朔日」とは「ついたち」、つまり「陰暦の8月1日(新暦の8月30日)には食べられる」の意になります。

恵徳上人は毎年八朔の日に果実を檀家に配って賞味したり、苗木を世間に売り出そうと試行錯誤もしたとされています。

と、ここで気になるのが、「八朔」は現在の旬とはかなりズレていることです。と言うのも、現在のはっさくの出荷時期は4月頃なんです。

実ははっさくの名前の由来は、定かではありません。
もし由来が確かであって、実際に八朔頃に食べられていたのなら、味もかなり違ったのかもしれませんね。

歴史のあるはっさくですが、恵徳上人の努力の甲斐もなく、広く一般に出回るようになったのは終戦後でした。

はっさくの魅力

はっさくの特徴と言えば、ずばりほのかな苦味です。
苦味と聞くと良いイメージがないかもしれませんが、はっさくの苦味は甘さと程よい酸味とのバランスが抜群で、クセになる味です。
それが柑橘ツウをうならせるわけですね。

ちなみにこの苦味の成分は「ナリンギン」という物質で、ビタミンPの一種なんですよ。はっさくにはこのビタミンPだけでなくビタミンCも豊富ですから、みかん同様、美容にも良い果物です。

外皮は少し厚く、手で剥くのは困難かもしれません。
ナイフで切れ目を入れて、内皮も剥いて食べるのがお勧めです。
食感にも特徴があり、パリッとした歯ごたえは他の柑橘ではなかなか味わえません。
後味は爽やかで、またすぐにでも食べたいと思わせてくれますよ。

はっさくはみかんの旬が過ぎた3月〜4月にかけて、出回る柑橘です。
春の訪れを感じながらクセのあるはっさくを食べるのも、柑橘ツウにはたまらなく幸せな瞬間なんだそうです。

今年はぜひあなたも、恵徳上人の試行錯誤を想いつつ、はっさくで春を感じてみてくださいね。